内容証明郵便の書き方|提出時の注意点も詳しく解説【記入例あり】

内容証明郵便を利用すれば、文書の内容や送付先などを日本郵便が証明してくれます。特に重要な金銭請求や要求をする場合に用いられることがあります。

本文でも書き方例付きでご紹介しますが、具体的には、労働問題での残業代請求や法律トラブルによる慰謝料請求、契約解除などの通知などがあります。

内容証明郵便は、個人で書いて提出することもできますが、ある程度の書き方の決まりがあります。こちらの記事では、内容証明郵便の書き方を中心に、書き方の決まりや記入例、提出時の注意点などをご説明します。

これから内容証明郵便を書いて提出しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

内容証明郵便の書き方に関する4つのルール

まず、内容証明郵便を書くにあたって、いくつかの書き方のルールがありますので、しっかり押さえておきましょう。

書き方・作成方法の種類

まず、内容証明の書き方・作成方法の種類ですが、以下の3種類があります。

  1. 手書き
  2. パソコンでの作成
  3. 電子内容証明郵便

内容証明郵便は手紙の出し方の1つなので、手書きの文書を使うこともできます。ただ、後述しますが同じ内容の書面を3部作成する必要があるため、手書きだと3部用意するだけで手間です。

現在では、パソコンで原本を作り、3部印刷して利用する方法が一般的でしょう。また、『e内容証明』と言って、インターネット上で文書を作成して郵便局に送る方法もあります。

用紙サイズや用紙の種類

内容証明郵便で送る文書に用紙サイズの決まりはありませんし、枚数にも制限はありません(枚数に応じて料金は変わります)。また用紙の種類に決まりもありません。内容証明の書き方例では、原稿用紙のようなマス目入りの用紙がよく使われていますが、これは文字数が分かりやすいようにするだけであって、白紙に文章を印刷したものを使っても問題ありません。

内容証明の文字数制限

内容証明郵便での文章を書くにあたって、特に気を付けておくべき部分が文字数制限です。内容証明郵便には文字数と行数が指定されており、縦書きの場合と横書きの場合で異なります。

 文字数(1行あたり)行数(1枚あたり)
縦書き20文字以内26行以内
横書き20文字以内26行以内
13文字以内40行以内
26字以内20行以内
参考:郵便局|内容証明の謄本の作成方法等を教えてください。
引用:郵便局|内容証明 ご利用の条件等
引用:郵便局|内容証明 ご利用の条件等

郵便局のサイトにもあるように、マス目入りの内容証明郵便用の用紙を使えば、文字数を気にせず簡単に作成することもできます

また、句読点や記号も1文字に加算されますが、記号の種類によっては2文字以上になる場合もあるので、注意してください。よく使われそうで、少し特殊な数え方をする文字数の例には以下のものがあります。

  • ㎡ → 2文字
  • ㎏ → 2文字
  • ⑤ → 2文字
  • ⑩ → 3文字

参考:郵便局|内容証明 ご利用の条件等

内容証明郵便は3部作成する

内容証明郵便は、送付用・控え用・郵便局提出用の3部を作成する必要があります。このことから、上でもお伝えしたように、パソコンもしくはe内容証明での文書作成が便利でしょう。また、1度の利用で送れる文書は1通の指定があり、図面や返信用封筒等などは同封することはできません。

内容証明郵便に記入する項目と書き方例

それでは、こちらでは実際に内容証明郵便に記入する内容についてのご説明をします。具体的なケース別の書き方例については後述しますので、まずは基本的な書き方について押さえておきましょう。

内容証明の主な記入項目

内容証明郵便では、主に以下の項目を書くことになります。

  1. 記載日
  2. 差出先の住所・社名・氏名
  3. 表題(『催告書』や『請求書』など)
  4. 通知内容
  5. 差出元の住所・社名・氏名

基本的な書き方例

実際に書き方例を挙げてみると、以下のようになります。

令和□□年□□月□□日

○○県○○市○○町○○丁目○○番○○号
○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○殿

△△県△△市△△町△△丁目△△番△△号
△△株式会社
代表取締役 △△ △△

表題

通知内容

内容証明郵便と聞くと少し重々しいイメージをするかもしれませんが、普段やり取りをする文書や手紙と書き方の形式が変わるものではありません。いつ作成した書類なのかを記すためにも、記載日は忘れずに記入しておきましょう。

特に個別で内容が変わってくる部分が『通知内容』の部分ですが、こちらの書き方例は次の項目で例を挙げます。大事なことは、『いつ・どこで・だれが・何を・なぜ・どのように』して欲しいかを明確に書いておくことです。

内容証明郵便が効果を発揮するケースとそれぞれの書き方例

内容証明郵便は、慰謝料・損害賠償請求をする場合や債権回収をする場合など、さまざまな場面で利用されます。この項目ではケース別の雛形をご紹介します。

未払い金・売掛金の債権回収をする場合の書き方

令和□□年□□月□□日

○○県○○市○○町○○丁目○○番○○号
○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○殿

△△県△△市△△町△△丁目△△番△△号
△△ △△

催 告 書

私は、貴社従業員として20□□年□□月□□日まで勤務していた者です。
20□□年□□月□□日〜20□□年□□月□□日まで、★★時間の時間外労働に従事していましたが、合計●●万円をお支払い頂いておりません。

つきましては、本書面到達後□□週間以内に、上記賃金を下記指定の口座までお支払いくださいますよう請求します。
お支払いに応じて頂けない場合、法的手段に移行いたしますので、ご承知おきください。

金融機関名 ××銀行 
支店名   ××支店
種類    普通預金
口座番号  ××××××××
名義番号  △△ △△ 

当サイトでは、労働問題についても取り扱っていますが、労働問題の中でも多い内容の『残業代請求』も未払金請求の最たる例です。他にも、会社間での売掛金の請求やお金を貸した際の債権回収などで内容証明郵便が使われるケースが多々あります。

不法行為による慰謝料・損害賠償請求をする場合

令和□□年□□月□□日

○○県○○市○○町○○丁目○○番○○号
○○ ○○ 殿

△△県△△市△△町△△丁目△△番△△号
△△ △△

通 知 書

貴殿は、私の夫である△△と職場で知り合い、妻子ある身ということを知りながら、令和□□年より週に1度密会を繰り返し、約□□年にわたって不貞関係を続けてきました。

貴殿の行為によって私の結婚生活は破綻し、これによる精神的損害は計り知れません。
よって、貴殿に対し慰謝料として合計●●万円を本書面到達後□週間以内に、下記指定の口座までお支払い下さいますよう請求します。

金融機関名 ××銀行 
支店名   ××支店
種類    普通預金
口座番号  ××××××××
名義番号  △△ △△

 不貞行為(不倫)や物を壊されるなどの不法行為を受けた場合、相手に慰謝料や損害賠償の請求権が生じる場合があります。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用:民法第709条

損害賠償等を請求する際に、内容証明郵便が用いられることがあります。代表的なものは、上記の例にあるように不倫された際の慰謝料請求です。

契約解除の通知をする場合の書き方

令和□□年□□月□□日

○○県○○市○○町○○丁目○○番○○号
○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○殿

△△県△△市△△町△△丁目△△番△△号
△△株式会社
代表取締役 △△ △△

催 告 書 兼 通 知 書

弊社が貴社に対して、令和□□年□□月□□日に納品いたしました弊社商品★★の代金●●万円について、令和□□年□□月□□日時点で、まだお支払いいただいておりません。

つきましては、本書到達後□□日以内に下記の口座へとお支払いくださいますよう催告いたします。

もし、お支払いがない場合は、再度通知することなく、売買契約を解除いたします。

金融機関名 ××銀行
支店名   ××支店
種類    普通預金
口座番号  ××××××××
名義番号  △△ △△  

金銭請求以外にも、契約解除や条件変更などの重要な内容を通達する際に内容証明郵便が用いられることがあります。これによって、相手が「知らなかった・聞いていなかった」などと言ってくるトラブルを未然に防ぐことができます。

内容証明郵便の提出方法と注意点

内容証明郵便の書き方については以上です。後は、ご自身の伝えたい内容に応じて内容を変え、作成していってください。完成した文書は郵便局に内容証明してもらうように伝えて提出します。こちらでは、内容証明郵便の提出方法と注意点についてご説明します。

提出時に必要になるもの

内容証明郵便として提出するためには、以下のものを準備して行きましょう。

  • 原本1通、謄本2通
  • 差出先と差出元の住所と氏名や社名を記載した封筒
  • 郵便料金

お伝えのように、内容証明郵便で送る文書は送付用・控え用・郵便局提出用の3部必要になります。

内容証明郵便に対応している郵便局に限りがあるので事前に調べる

内容証明郵便に対応している郵便局は「集配業務を行っている郵便局・支社が指定する郵便局」に限られるため、提出前に郵便局HPなどで確認しておくとよいでしょう。

以下のリンク先の下部にある条件指定から『内容証明』をチェックすれば絞って検索できます。対応している郵便局が案外少ないので、事前に調べておくことをおすすめします。
参考:日本郵政グループ|郵便局をさがす

インターネットを使った内容証明郵便の提出方法

また、インターネットを使って文章を作成し、内容証明郵便を提出する方法もあり、『e内容証明』というサービスです。24時間対応しており、わざわざ郵便局に足を運ぶ必要がないため、このご時世にも合った提出方法でしょう。また、料金面でも窓口での手続きよりも若干安くなります。

文章はWordファイルで作成し、専用WEBサイトにもアップロードすることで、刷・照合・封入封かんがされて、内容証明郵便として発送されます。普段からパソコンを利用されている方であれば、そこまで難しい方法ではないため、一度検討してみてください。
参考:郵便局|e内容証明(電子内容証明)

相手が内容証明郵便に応じなかった場合の対応3つ

内容証明郵便は、送られた日付や文章の内容を証明するサービスではありますが、文書に書かれている内容に法的に従わせるものではありません。

よって、送り先が内容を無視したり、受け取り拒否をするケースも考えられます。内容証明郵便に応じてもらえない場合には、法的措置も視野に入れて次の手を打っていくことができます。主に以下の方法を検討してください。

  1. 弁護士名義で再度内容証明郵便を送る
  2. 応じない場合、法的措置に移る旨を記載した内容証明郵便を送る
  3. 法的措置に移る

特に請求額が大きかったり、すでに問題がこじれているような場合には、あらかじめ弁護士に相談したうえで、弁護士名義の文書を送ってもらったり、法的措置も辞さない構えの文章を送ることで、相当なプレッシャーを与えることができます。

内容証明郵便の利用料金

郵便局のHPによると、主な料金は下記のとおりに設定されており、通常の郵便料金より高くなることをご承知おきください。

一般の内容証明

1枚2枚3枚4枚5枚
440円700円960円1,220円1,480円

郵便物の料金

重量料金
定形郵便物
25gまで84円
50gまで94円

一般書留の加算料金

損害要償額が10万円までのもの435円
損害要償額が10万円を超えるもの10万円を超える5万円までごとに21円増

その他の主なオプションサービスの加算料金

区別料金額
速達重量250gまで290円
(略)(略)
配達証明差し出しの際320円
差出後440円

参考:郵便局|内容証明 ご利用の条件等

内容証明郵便の作成を弁護士に依頼するメリットと費用相場

内容証明郵便で送るような重要な内容を伝えるケースでは、トラブルが発生していたり、大きな金銭が絡んでいることが多いと考えられます。上でも触れましたが、相手にしっかり応じてもらうためには、弁護士に内容証明郵便を作成してもらうことも検討してみてください。

内容証明郵便の作成を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼する大きなメリットが、やはり相手に与えるプレッシャーが格段に上がることでしょう。その結果、相手が応じてくれる可能性は高まりますし、仮に反論されたとしても交渉や法的措置などの次のアクションにも移りやすくなります。

残業代や慰謝料などの金銭請求を行う場合には、正しい計算方法で根拠のある請求額を提示できますし、相手の反論や訴訟も見据えた文章も作ってくれます。

弁護士に相談すること自体は無料でできるケースが多いため、内容証明郵便を送るほどのトラブル・悩みを抱えているようでしたら一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

内容証明郵便作成の弁護士費用の相場

内容証明郵便の作成を弁護士に依頼する場合、もちろん費用はかかってしまいます。個別の弁護士事務所によって料金設定は違いますが、主に以下の価格帯に設定しているところが多いです。

作成のみ1~3万円
交渉込み(弁護士名義)10~20万円

作成のみの依頼も可能ですが、特に金銭請求する際や、すでにトラブルに発展している場合には、交渉も含めた依頼をすることをおすすめします。弁護士名義で文書を送ってもらえるだけでも、相当な効果が出てくるでしょう。

また、慰謝料請求や残業代請求などの内容で依頼することになれば、その事案に応じた弁護士費用が発生することもあります。しっかり相談したうえで、料金面でも納得した状態で依頼するようにしてください。

まとめ

内容証明郵便は個人で書いて提出することもできます。自分で作成する場合には、ご紹介した書き方例や注意点を参考にしてみてください。特に文字数の決まりがあるので、しっかり文字数制限に沿って作成するようにしましょう。

また、内容証明郵便を利用するケースでは、重大な内容を伝える・要求するケースが多いと考えられます。問題が大きければ大きいほど、弁護士の必要性が高まります。一度弁護士に相談してみて、必要に応じて弁護士に内容証明郵便を作成してもらうことも検討してみてください。

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