内容証明郵便作成にかかる弁護士費用の相場|依頼時の注意も解説

内容証明郵便を出す際、弁護士に依頼することを考える方も多いでしょう。先にお伝えすると、内容証明郵便に関する弁護士への依頼での料金は以下の相場になっています。

作成のみ 1~5万円
交渉込み(弁護士名義) 10~20万円

弁護士名義で内容証明郵便を送ってもらうことで、送り先にもプレッシャーを与えることができますが、弁護士名義で送ってもらいたいのであれば、10万円以上の料金は必要だと考えておいた方が良いでしょう。

こちらの記事では、内容証明郵便の作成や交渉で弁護士に依頼した場合の費用や弁護士に依頼する意味・メリットなどについてご説明します。

内容証明郵便の作成を弁護士に依頼する4つのメリット

内容証明郵便の作成を弁護士に依頼した場合の料金については簡単に触れましたし、後述でも詳しくご説明しますが、まず、弁護士に内容証明郵便の作成を依頼するメリットにはどのようなものがあるのかを知っておきましょう。

相手が応じやすくなる

内容証明郵便には法的拘束力はありません。内容証明郵便はあくまでも文書に書かれている内容を郵便局が証明してくれるサービスで、相手が「そのような書類知らない」などと言い逃れを与えないための方法に過ぎません。

よって、内容証明郵便で書類を送ったとしても、それに応じさせる強制力はないのです。しかし、弁護士に内容証明郵便の作成を依頼し、弁護士名義で送ることができれば、相手に相当なプレッシャーを与えることができると期待できるでしょう。

交渉を代理してもらうことも可能

内容証明郵便を送ったからと言って、そのまま問題解決するとは限りません。上でもお伝えしたように、応じない場合もありますし、減額交渉などに移る場合もあるでしょう。そのような場合になったとしても、弁護士に依頼しておくことで交渉も可能となります。

内容証明郵便送付後に問題が大きくなってからの依頼も可能ですが、作成の段階から依頼しておけば、反論を見据えた文面作りもできますし、上記と同様に弁護士名義によるプレッシャーで、そう簡単には反論させないような対策もできます。

また、請求額や要求する内容にも、法的根拠を持たせて伝えますので、そもそも反論の余地も与える隙も与えにくいでしょう。

適した金額で請求などを行ってくれる

内容証明郵便は、慰謝料や損害賠償請求、残業代や売掛金などの未払金請求などに用いられることも多いです。

売掛金や債権など、あらかじめ契約で決まった金額を回収する場合には、そこまで大きな差額は生じませんが、慰謝料や残業代請求などは、個々の解釈や計算方法によって金額に大きな違いが出てくることも多いと考えられます。

弁護士は法律のプロフェッショナルですので、法律に基づいて適して根拠ある金額の請求を行ってくれます。また、できる限り依頼者が高額な請求をできるような計算や請求をしてくれるでしょう。

自分だけで考えていた金額よりもより高額な請求ができる場合もありますので、一度状況を相談してみて、具体的にいくらくらいの請求が通りそうなのかを確認してみても良いでしょう。相談だけなら無料でできる弁護士事務所も多いです。

その後の法律トラブルにも対応可能

上でもお伝えしましたが、内容証明郵便だけで解決できない場合、交渉することもありますし、それでも当事者同士で解決できないなら、最終的に訴訟問題に発展することもあり得ます。

訴訟まで発展した場合、弁護士なしで対処することは非常に困難なのですが、早めに依頼しておけばいざ訴訟になった場合の対応も可能です。弁護士事務所の料金設定によっては、訴訟の場合の追加料金がかかるケースもありますが、一から弁護士を探し始めて状況を伝えるよりも、非常にスムーズに話が進みます。

内容証明郵便を弁護士に作成してもらう場合の料金

それでは、こちらでは内容証明郵便の作成を弁護士に依頼した場合の料金についてご説明します。冒頭でもお伝えしたように、以下の料金設定にしている弁護士事務所が多いのですが、実際には依頼内容や弁護士事務所によって違ってきますので、具体的には依頼前に確認することをおすすめします。

作成のみ 1~5万円
交渉込み(弁護士名義) 10~20万円

単なる作成費用

内容証明郵便を単に弁護士に作成してもらう場合には、1~3万円の料金で受けてくれる場合が多いです。ただし、注意する点としては、作成してもらえるだけで、その後の対応や弁護士名義での送付を行うことができません。

上のメリットでもお伝えした、相手にプレッシャーを与えたり、交渉に移れるようなメリットを受けられるわけではありませんので、金銭請求などの相手から要求に応じてもらう目的の依頼ではおすすめできません。

  • ただ単に作成が手間なので代行して欲しい
  • 法的にも難しい内容なので正しい文面で送りたい

などの場合には検討しても良いでしょう。

交渉も含める場合(弁護士名義での文書作成)

内容証明郵便の作成に加えて、交渉にも対応してもらう場合には弁護士料金も10~20万円程度にまで上がります。ただ、弁護士名義で送付してもらうことも可能になるため、弁護士依頼のメリットも多く感じられるようになるでしょう。

また、依頼の内容によっては後述する料金設定が適用される場合もあります。例えば、金銭請求の内容証明郵便を送る場合、獲得した金銭に応じて弁護士料金が生じる場合もあります。依頼前にしっかり確認し、納得した上で依頼するようにしましょう。

内容ごとの弁護士費用の例

上でもお伝えしましたが、特に金銭請求の内容証明郵便を送る場合には、確認した金額に応じて弁護士料金が変動する場合もあります。このことは弁護士事務所や依頼内容によって個別で変わってきますので、必ず確認してください。

弁護士事務所によっては上記の料金がかかった後に成果報酬として以下の料金が発生することもありますし、別途着手金が発生する場合もあるでしょう。

依頼内容 料金相場
残業代請求 獲得金額の20~30%
慰謝料・損害賠償請求 獲得金額の10~20%
債権回収 回収金額の10~20%

主な料金設定は上の通りですが、実際に依頼を決める前にシミュレーションまでしてもらって、総額でかかる料金まで算出してもらいましょう。

内容証明郵便を受け取った場合の対応

基本的には、これから内容証明郵便を送る側の内容でお伝えしていますが、中には慰謝料請求などの書類を内容証明郵便を受け取ったという方もおられることでしょう。

この場合、上記の『交渉も含める場合』の料金と同等の10~20万円程度に料金設定している弁護士事務所が多いです。また、上でもお伝えしたような、減額交渉によって減額できた金額の一部が報酬になったり、別途成功報酬が発生するケースもあります。

内容証明郵便の作成依頼をする際の失敗しない弁護士の選び方

内容証明郵便の弁護士料金についてはある程度理解していただけたことでしょう。しかし、弁護士を選ぶうえで大事なことは料金だけではありません。弁護士の選び方を誤ってしまったばっかりに、もっとスムーズに、もっと高額請求ができたかもしれないのに…思わぬ結果で終わってしまうことも起こり得ます。

こちらでは、内容証明郵便を送る弁護士に依頼する際の選び方についてご紹介します。

抱えているトラブルを多く取り扱う弁護士に絞る

単に通知を送る場合もあれば、金銭請求をするケースもあるでしょう。特に金銭請求をする場合には、相手も簡単には応じないケースが考えられますので、弁護士の必要性が高まります。

具体的に内容証明郵便を送るケースでどのような弁護士の種類があるのかを後述にてご説明しますが、依頼内容の分野を得意にしている弁護士を中心に探すようにしましょう。

例えば、残業代請求をするのであれば、労働問題に力を入れている弁護士ですし、不倫慰謝料を請求するなら、離婚問題に力を入れている弁護士です。普段、案件を多く取り扱っている弁護士に依頼するかどうかでも請求する金額や、上手くいきやすさが大きく変わってきます。

弁護士との相性も重要

弁護士選びにおいて、案外軽視されがちなことですが、依頼者と弁護士の相性も重要になってきます。

特に送付後の交渉を含めた依頼をすれば、一度依頼して終わりではなく何度か連絡のやり取りをすることも出てくるでしょう。レスポンスが悪い弁護士に依頼してしまうと、いざ相手とトラブルが発生した際にも、迅速な対応ができないことも起こり得ます。

もし、訴訟にまで移行するような問題になった場合には、1年程度関係性を続ける間柄にもなります。最初の段階での弁護士との相性も大事なのです。

作成だけではなく交渉も依頼する

度々お伝えしている内容ですが、内容証明郵便作成の依頼をする場合には、作成だけではなく交渉を含めた弁護士依頼を強くおすすめします。

最初の方でもお伝えしたように、交渉を含めた依頼にすることで弁護士名義で文書を遅れますが、相手に与えるプレッシャーも相当なものになります。料金は上がりますが、その分受けられるメリットも大きくなります。

特に金銭請求などなにかしらの要求で内容証明郵便を利用する際には、交渉を含めた弁護士依頼を前提に考えておきましょう。

内容証明郵便を送る内容別の弁護士の相談先

最後に、どのような状況で内容証明郵便を利用することが多く、その場合にはどのような弁護士に依頼すべきかをご説明します。上でもお伝えしましたが、事件内容に応じた弁護士から選んでいくことが非常に大事になります。

残業代請求

内容証明郵便は未払い金の請求に利用するケースが多いのですが、その中でも多いであろう内容が『未払い残業代請求』です。サービス残業や名ばかり管理職などの働かせ方が横行している会社では、高額な未払い残業代が発生していると考えられ、数年分で100万円以上を超えることも珍しくありません。

ただし、残業代請求の時効は3年となっています。時効成立後の残業代の請求権は消滅してしまいますので、退職の有無にかかわらずまずは早めに弁護士に相談することをおすすめします。

慰謝料・損害賠償請求(主に不倫慰謝料)

物を壊されてしまったり、不貞行為(不倫)をされてしまった場合など、不法行為に基づいた損害賠償請求が認められるケースがあります。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用:民法第709条

いきなり裁判によって請求をするのではなく、まずは内容証明郵便によって請求することが多いです。

得に身近に起こり得る損害賠償請求として、不貞行為に対する慰謝料請求が挙げられます。こちらも、状況や不倫期間によっては100万円を超える高額な慰謝料請求ができる場合があります。

具体的にどの程度の慰謝料請求が相当なのかを、離婚問題に力を入れている弁護士を中心に相談してみてください。

債権回収

債権や売掛金が支払われないなど、債権回収でも内容証明郵便が利用されるシーンが多いです。相手に対して言い逃れを与えない方法にもなりますし、最終的に強制執行などの法的措置に移る前の準備としても利用できます。

債権回収の場合、相手も「払わなくてはならない」と認識しているケースも多いため、弁護士に依頼して弁護士名義で文書を送ることで、すんなり応じてくれるケースも多いでしょう。

まとめ

内容証明郵便の作成を依頼した場合、基本的に以下の料金が相場としてかかってきます。

作成のみ 1~5万円
交渉込み(弁護士名義) 10~20万円

ただ、依頼する内容によっては、獲得できた金額の一部が成功報酬などで加わるケースもあるでしょう。具体的には依頼前に相談・シミュレーションしてもらって、金額に納得した上で依頼を決めるようにしましょう。

内容証明郵便を弁護士に依頼することはメリットも多いです。しかし、弁護士名義で文書を送らないと、そこまで大きなメリットを受けられませんので、交渉込みの依頼を前提に考えることをおすすめします。

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